LINEヤフーコミュニケーションズは、LINEヤフーの100%出資子会社として福岡に本社を置き、LINEヤフーが提供するサービスのカスタマーサポートをはじめ、テスト、モニタリング、クリエイティブなど、サービス運営に関わるさまざまな役割を担っている会社です。
そのLINEヤフーコミュニケーションズ初の自社プロダクトとして、2025年にリリースされた「LINEスグミエール」は、スマートシティ事業部の現場で見えていた課題から始まりました。
スマートシティ事業部は、自治体や企業との連携を通じて、LINE公式アカウントを活用した情報発信や地域課題の解決に取り組んできました。
その中で見えてきたのが、運用担当者が日々の業務に追われ、情報発信に十分な時間や手間をかけられないという課題です。
一方で、ユーザー側にも、自分にとって必要のないメッセージが届いてしまうという課題がありました。
届けたい情報はある。
けれど、配信設計や運用には手間がかかる。
手間をかけて設計した配信であっても、ユーザーにとっては不要なメッセージと思われてしまうことがある。
こうした状況が、一人ひとりに合った情報発信を継続する難しさにつながっていました。
この課題に向き合う中で生まれたのが、誰でも簡単に操作でき、届けるべきユーザーへ必要な情報を手間なく配信できる「LINEスグミエール」です。
LINEヤフーコミュニケーションズにとって、自社プロダクトの立ち上げは新しい挑戦でした。
立ち上げを進める中で見えてきたのは、スマートシティ事業部だけでは越えられない壁でした。
営業、マーケティング、運用設計、審査、品質、開発。
必要な領域が広がるほど、社内に蓄積されてきた専門性が力を発揮していきます。
本記事では、LINEスグミエールが事業として形になっていくまでの1年を、部署を越えた連携の視点から振り返ります。
現場の課題が見えていたことと、それを事業として形にすることは別の話でした。
LINEスグミエールの立ち上げ当初、スマートシティ事業部には、営業もマーケティングも事業づくりも、十分な経験がそろっていたわけではありません。営業の進め方も、プロダクトとしての見せ方も手探りで、後から振り返れば、基本的な準備にも手が回っていなかった場面があったといいます。
例えば、サービスの価値をうまく言語化できず、説明するたびに伝え方がばらついてしまう。誰に、どのように届けるべきかも明確に定まっていない。
営業やマーケティングを進める中でも、どのようなメッセージが相手に響くのかは手探りで、想像していたほど反応が得られないことも少なくありませんでした。
一方で、思いもよらないポイントに興味を持ってもらえることもありました。そうした反応を手がかりにしながら、少しずつ「何が伝わるのか」を探っていったといいます。
この試行錯誤が、後の改善や他部署との連携につながっていきました。
自社プロダクトでありながら、LINEスグミエールはこれまでの事業領域と切り離された挑戦ではありませんでした。
LINE公式アカウントを活用した情報発信を、より簡単に、より運用しやすくするサービスであり、既存のLINEヤフーサービスと直接競合するものではありません。
まったく新しい領域にゼロから踏み出したわけではない。
けれど、これまでの業務の延長だけでもない。
LINEスグミエールは、既存サービスから遠すぎず、近すぎない領域で、LINEヤフーコミュニケーションズの経験を新しい事業づくりに転用していく挑戦でした。
立ち上げ初期には、サービスの内容や魅力をどう見せるかも大きな課題でした。
その部分を支えていたのが、クリエイティブの力です。
サービスサイトのデザイン、サービス紹介動画の制作、新機能検討時の画面設計監修。
担っていたのは単なる制作ではなく、スマートシティ事業部が届けたい価値を、ユーザーにとって理解しやすく、使い始めやすい形へ整えていくことです。
また、プロモーション戦略推進チームは、ゲームマーケティングで培った知見を活かし、SNS広告運用や訴求設計、クリエイティブ制作の面から事業を後押ししました。
価値を伝える準備と並行して、営業やマーケティングの活動を支える基盤づくりも必要でした。
顧客・マーケティング基盤の構築と効率化、資料請求フォームの構築、営業先リストの作成やレポート化。運営DX部が担っていたのは、前線の活動を継続的に支えるための仕組みづくりでした。
営業や提案を進める中でも、多くの壁がありました。
そのとき力になったのが、AI活用の知見を持つAI運営3チームです。
営業サポートとしてのプロンプト構築や、AI機能の検討支援。
現場で感じていた課題にAIの専門性が加わることで、提案や検討の精度は少しずつ高まっていきました。
大切だったのは、技術を取り入れること自体ではありません。
現場で本当に使える形にすること。
その姿勢もまた、この取り組みを支える大きな力でした。
サービスとして提供していくためには、運用を安定させることも欠かせません。
LINEスグミエールの立ち上げにあたっては、審査業務そのものを整える必要がありました。
審査業務を担うマルチコンテンツ審査パートは、立ち上げ時の業務構築に加え、リリース後も審査基準の見直しやエスカレーション防止に取り組みながら、運用の安定化を進めてきました。
大量のアカウント発行業務を事故なく完遂できたのも、こうした取り組みの積み重ねによるものです。
LINEスグミエールを事業として動かし続けるためには、表に見えにくい領域の支えも欠かせません。
スタビリティーテスト部はQA対応を、ITイノベーション本部は開発面での支援を担いました。
さらに、経理は売上・入金・支払管理やキャンペーン時の相談を、情報セキュリティ部はリリース前後のセキュリティチェックや新機能リリース時のアドバイスを担っていました。
こうした支援は表に出にくいものの、リリース後の品質や信頼性を守る土台になっていました。
LINEスグミエールは、初年度に掲げていた事業目標を達成することができました。
その背景にあったのは、スマートシティ事業部だけではなく、各部署の専門性でした。
サービスの価値を見つけること。
伝わる形に整えること。
営業やマーケティングの基盤をつくること。
審査や品質、開発、管理の面から安心して提供できる状態を整えること。
それぞれの仕事が重なったことで、LINEスグミエールは事業として前に進んでいきました。
そのどれか一つでも欠けていたら、同じ成果にはつながらなかったかもしれません。
LINEヤフーコミュニケーションズには、「Enjoy the Challenges Together(挑戦を共に楽しむ)」という言葉があります。
それは、前に立って新しい挑戦を始める人だけのものではありません。
誰かの挑戦に対して、自分たちの専門性で応えること。
役割や部署を越えて、必要な知見を持ち寄ること。
LINEスグミエールの歩みには、その姿勢が表れていました。
今回の取り組みから見えてきたのは、新規事業を前に進めるうえで、社内に発信し、相談し、つながりをつくることの大切さです。
日常業務の延長だけでは生まれにくい連携も、自分たちの課題を共有し、一歩踏み出すことで広がっていく。
LINEスグミエールの歩みは、そのことを示す事例でもありました。
新しい価値を生み出すことは、一部の人だけで完結するものではありません。
課題を言葉にし、必要な知見とつながりながら前に進めていく。
LINEスグミエールの歩みが、同じように挑戦する人にとって、少しでもヒントになれば幸いです。