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テストオペレーターから技術開発へ。生成AIが拓いたキャリアと、QA現場発のAIエージェント開発

2026年10月29日 | Challenge

テストオペレーターから技術開発へ。生成AIが拓いたキャリアと、QA現場発のAIエージェント開発 サムネイル画像

AIの台頭に伴う「人の役割の変化」が議論される昨今、社内では生成AIの活用を契機に新たなキャリアを切り拓き、現場の変革を牽引しているメンバーがいます。

2026年4月、サービステスト本部に新設された「技術開発パート」。本部内のQA業務に活用されるAIエージェントの開発や、次世代のテスト自動化を推進するこの部署で活躍しているのが、古舘彬彦さんです。

31歳・未経験からテストオペレーターとして入社し、どのように技術を身につけ、AIエージェント開発を担うポジションに至ったのか。そして生成AIが現場のQA業務をどう変えつつあるのか、お話を伺いました。

現場のための「AIエージェント開発」とテストプロセスの革新

――2026年4月に発足した「技術開発パート」ですが、具体的にはどのようなミッションを持つ部署なのでしょうか?

古舘: 主にサービステスト本部内で提供している「公式AIエージェント」の開発を担当しています。それに加えて、まだ社内・本部内で取り組めていないテスト領域へのアプローチや先行事例の開拓など、QAに関する新しい技術開発を行うポジションです。
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サービステスト本部技術開発パート 古舘 彬彦 
2021年3月にテストオペレーターとして入社し、QA業務に従事。2024年にQA業務のAIエージェントのプロトタイプを開発し、2025年からはQA業務の全自動化プロジェクト「FAST戦略」に参画。2026年4月に技術開発パートへ異動し、現在はLINEヤフーコミュニケーションズにおけるQAの公式AIエージェント開発の中心メンバーとして活動。

―― 現在のAIエージェント開発は、どのようなフェーズまで進んでいますか?

古舘: テストプロセス(計画・分析・設計・実装・実行・完了)のうち、初期リリースでは「分析・設計」あたりを中心に対応していました。現在はそこから「実装」や「実行」のフェーズへと徐々に範囲を広げ、追加機能の開発を進めています。

また、開発した機能を現場に浸透させる取り組みも重要視しています。直近ではAIがブラウザやスマートフォンアプリを自動操作してテストを実行する機能を開発し、本部全体に向けたオフラインのハンズオンワークショップを開催しました。「現場のメンバーが実際のプロジェクトですぐに試せる」状態を目指して取り組んでいます。

DSC01170-1開発したAIエージェント。テストケースの分析・設計を自動で行っている

31歳・未経験入社から、現場課題に向き合い培った技術力

―― 古舘さんのこれまでのキャリアについても教えてください。もともとエンジニアを目指されていたのでしょうか?

古舘: 前職は自営業で物販を行っていました。業務効率化のためにプログラミングを学び始めたのをきっかけにIT技術全般に興味を持ったのですが、情報工学を専攻していたわけでもなく、31歳・完全未経験という状況でいきなりプロのエンジニアとして就職するのはハードルが高いと感じていました。

そこで、まずは関連する現場業務からスタートしようと考え、テストオペレーターとして契約社員で入社しました

―― そこからどのようにして開発に関わるスキルを身につけていったのですか?

古舘:  入社したタイミングでテスト自動化ツール(MagicPod)の社内トライアルが始まっており、自分から希望を出して使い始めたのが最初のきっかけです。

その後、テスト自動化を推進するタスクフォースに参加し、知見を共有してもらいながら担当プロジェクトの自動化を進めました。さらに、社内のMacに複数台のスマホを接続した自動テスト実行環境の運用担当として、エラーログを解析したりトラブルシューティングを行ったりする中で、スクリプトやコードを読み解く力、システムが裏側でどう動いているのかを理解する感覚が養われていきました。

―― 日々の業務と並行して、ご自身でも学習を継続されていたのですね。

古舘: そうですね。オンライン学習サービスなどでプログラミングを学びつつ、実務のテスト現場でデータベースを触ったり、ミーティングで出てくる分からない専門用語を都度調べたりしていました。「疑問が出たらすぐ調べる」習慣が身についていたところに生成AIが登場したことで、疑問に対する答えや解説を即座に得られるようになり、学習や理解のスピードが一段と加速した実感があります。

生成AIが打破した「テスト自動化の壁」

―― これまで現場で取り組んできたテスト自動化と、今回の「AIエージェント」によるアプローチにはどのような違いがありますか?

古舘: 従来のテスト自動化は、実装そのものに大きな工数がかかり、実行後のメンテナンスコストも非常に重いという課題がありました。専任のエンジニアを配置できるプロジェクトならまだしも、現場の担当者が通常業務の合間を縫って対応しようとすると、工数捻出が難しく頓挫してしまうケースが多かったんです。

また、従来の自動化ツールは「書かれた通りの決まった動作」を正確に行うリグレッションテスト(回帰テスト)には向いていますが、仕様が頻繁に変わる新規機能のテストには追従しづらい側面がありました。DSC09076

―― 生成AIの活用によって、その課題はどう変わったのでしょうか?

古舘: 最大の違いは、「自然言語(日本語)の指示でAIがテスト手順を解釈し、柔軟に対応してくれる点」です。コードを厳密に書き起こさなくても動かせるため、実装コストが劇的に削減されました。

また、テスト実行そのものだけでなく、前準備である「テストケースの作成(手順や期待結果の文章化)」にAIを活用することで、その工程にかかる工数が最大5割ほど削減された事例も出てきています。開発完了からテスト開始までのリードタイムを短縮し、迅速に品質検証へ移行できる環境が整いつつあります。

テスト現場の経験があるからこそ作れる「本質的なツール」

―― テストオペレーターとして現場を5年間経験した古舘さんだからこそ、発揮できている強みは何だと感じますか?

古舘: 「テストの業務プロセスそのもの」や「現場がどこで詰まり、何を求めているか」を深く理解している点です。
単に技術的に動くツールを作るだけでなく、テストの本質である「プロダクトの品質をどう担保するか」に寄り添った設計ができること、現場目線で使いやすいエージェントに落とし込めることが、自身のバックグラウンドを活かせている部分だと感じています。

―― AIの浸透によって、メンバーの働き方や組織にも変化は表れていますか?

古舘: 「会議に参加しながらAIエージェントにテスト業務を行ってもらう」といった並行作業が当たり前になるなど、AI活用は確実に定着してきました。

組織全体としても、AI活用による効率化が進んだことで、既存業務を効率化して生まれたリソースを新規案件や新規プロジェクトにシフトできるようになっています。追加採用に頼らずに通常業務と並行して新しい挑戦を回せる体制ができつつあります。

みんなが当たり前にAIを使い、「楽しくチャレンジできる」現場へ

―― 最後に、古舘さんが今後目指していきたい姿や目標を教えてください。DSC09187

古舘:  一番は、「みんなが当たり前にAIを使って、楽しくチャレンジできる状態」を作ることです。AIエージェントの開発や活用法の共有を通じて、そうしたカルチャーをさらに広げていきたいです。

また個人的には、技術的なスキルだけでなく、より広い「ビジネス理解」を深めていきたいと考えています。AIはこちらが投げた指示や仮説の解像度に合わせて答えを返してくるため、スタート地点の前提やビジネスの捉え方がズレていると、アウトプットもズレてしまいます。

現場のプロジェクト担当者から組織全体のAI化を推進するポジションになった今だからこそ、ビジネス視点と現場の解像度を掛け合わせ、より価値のある仕組みづくりに挑んでいきたいです。