「コミュニケーションのかたち with+(ウィズプラス)」は、LINEヤフーのサービス運営を担う私たちが、「異なるフィールド」で活躍するプロフェッショナルとの対話を通じて、コミュニケーションの本質を見つめ直す連載シリーズです。
記念すべき第1回目にお話しを伺ったのは、株式会社グッデイで「ホームセンターグッデイ 久留米野中店」の店長を務める堀 智恵さん。 物理的な「店舗」とデジタルの「メール対応」。活躍するフィールドは異なりますが、お二人の対話からは「相手の話を最後まで聞く」「言葉に背景を添える」といった、明日から仕事や日常で活かせる共通の本質が見えてきました。
立場や業界の違いを越えて交わされる言葉から、私たちが大切にすべきコミュニケーションのあり方を考えます。
青木 真衣 Aoki Mai
クロスカンパニーCS本部 決済CS推進部
大学卒業後、携帯電話販売店に2年ほど勤務し、2013年ヤフー株式会社に入社。決済CS推進部で顧客対応を担当し、現在はリーダーを務める。趣味は、旅館、温泉、ガーデニング。
堀 智恵さん Hori Chie
ホームセンターグッデイ 久留米野中店 店長
大学卒業後、2009年に株式会社グッデイに入社。北九州地区の店舗、採用担当、店舗運営企画室、太宰府店店長を経て、2023年から現職。趣味・特技は、怒髪天というバンドの推しと、食べ物をおいしそうに食べること。
はじめまして。採用から店舗まで経験豊富な店長×メール対応のプロ
青木:堀さん、今日はお時間をいただき、ありがとうございます。LINEヤフーコミュニケーションズの北九州拠点に勤務している青木と申します。入社13年目でずっとカスタマーサポートの部署に所属し、今は「Yahoo!ウォレット」というオンライン決済・支払い管理サービスのチームリーダーも務めています。お客様からのお問い合わせにメールで対応しています。
堀:まあ、北九州からお越しいただいたのですね。グッデイ久留米野中店の店長の堀と申します。新卒で入社して17年目、北九州地区の店舗勤務から人事総務部採用担当8年、店舗運営企画室2年、太宰府店店長を経て、当店の店長になって3年弱です。他店の店長さんは店舗勤務が長く、商品知識も豊富なのですが、私は店舗での勤務経験が短いため、多くの方に助けてもらいながらやっています。
言いたいことは最後まで、「聞く」ことを大切にしたい
青木:堀さんはお客様や従業員とのコミュニケーションで、どんなことを大切にされていますか?
堀:相手の話を「聞く」ことですね。特に、相手の言いたいことを最後まで聞くように心掛けています。実は、採用の担当をしていたとき、合同説明会で話をしたらあまりに下手で、話す役を交代させられたんですよ(笑)。当時はショックでしたが、そこから「私は話すより聞く方を極めよう」と思い、勉強しました。
青木:どんな勉強を?
堀:まずは基本からと思い、産業カウンセラーとキャリアコンサルタントの勉強をしました。そして、新卒の学生さんにとって最初の会社は重要だから、どんなことをしたいか、何を大事にしたいかなど、いろいろな話を聞いた上で、当社と合うかどうか話をしていきました。
青木:資格まで取られてすごいですね。相手の言いたいことを最後まで聞くことは、なぜ心掛けているのですか?
堀:私自身、これまで働いてきた中で、自分の意見をしっかり聞いてもらえた、受け止めてもらえたと感じたときに、大きな安心感やその後の納得感に繋がった経験があったからです。経験を積むと、つい「結論はこれだな」と先回りして分かってしまうこともあるのですが、やはり相手にとっては「全部吐き出せた」という安心感が、その後の信頼に繋がるのだと思っています。
青木:なるほど、その通りですね。
メールだからこそ「寄り添う」気持ちを大切に
堀:青木さんはメールでお客様に対応されるということで、コミュニケーションが難しそうです。どんなことを大切にされていますか?
青木:メールではお客様の感情が分かりづらく、直接聞けない難しさがあります。特にYahoo!ウォレットのお問い合わせは「未納を早く払いたい」「停止したはずの有料サービスの請求がきた」など、お支払いに関する困りごとや不安を抱えていらっしゃるので、迅速な対応を徹底しています。こちらがメールで質問して解決が遅くなるのを避けたくて、できるだけ1度の返信で解決できるように努めています。例えば、一言「ハガキ」しか書いていないメールが来たら、住所変更があってハガキが未着なのか、お送りしたハガキの支払期限が切れたのかなど、社内の情報システムからお客様の状況を読み取って対応します。
堀:すごいですね。メール対応にはテンプレートがあるのでしょうか?
青木:もちろんあります。ただ、私はメールだからこそ、お決まりの回答だけでなく、寄り添うような一文を必ず添えています。例えば、入院していたので支払いができなかったというメールに対しては「退院おめでとうございます」、年始には「よい1年をお過ごしください」などと書き足します。
時には難しい判断と対応が求められることも
堀:お客様対応には、判断に迷うような案件もありますよね。部下の方から文面について相談を受けられたりしますか?
青木:はい、対面ではない分、事前に相談してもらって対応できるのはいいですね。お客様が怒っていらっしゃる場合、この文面で大丈夫かと確認されることもあります。そもそも難しい案件はひとりで抱え込まず、どのように解決したらいいのかチームメンバーで話し合って対応します。朝礼で何でも共有できるようにしています。
堀:それは私たちも同じです。判断が難しいケースは、スタッフはもちろん上司に相談したり会社と協議をしたりした上で、チームや会社として対応できる心強さはありますね。
青木:そして、どんなに厳しいご意見でも、誠実に対応すると最後にお礼を言われることもあって、その瞬間に辛さがパーッと消えます。
堀:ああ、分かります(笑)。
チームを一つにまとめる、リーダーとしての役割
堀:青木さんはメンバーとうまくコミュニケーションを取ってこられたという印象を持ちました。うまくいかなかった経験もありますか?
青木:もちろんありますよ。メンバーから昔、「青木さんは言い方が強くてツライ」と言われたことがあります。私はどうやら用件だけをストレートに伝えていたようです。そこで尊敬する部長や先輩の対応を見習って、こんなときは「繁忙期に申し訳ないけど」といったクッション言葉を使うとか、どう対応したらいいのかを学び、気をつけるようにして今に至ります。
堀:なるほど。他にリーダーとして気を付けていることがあれば教えてください。
青木:やはりメンバーとのコミュニケーションには気を配っています。一つは、さっき堀さんもおっしゃったように傾聴を意識しています。例えば、お客様対応の中でストレスを感じているメンバーがいた場合には、頭ごなしに「今はそのようなことを言っている場合ではない」と注意するのではなく、1on1で吐き出してもらい、「そうだよね、分かるよ」と共感します。もう一つ、メンバーに何かをお願いするときは、背景や目的をきちんと話します。「これをお願いします」だけではなくて、「これが必要です。なぜなら、こういう理由があるから。私はこれをするから、こっちをお願いしてもいいですか」というように、しっかり伝えることで納得して動いてもらえるようにしています。
堀:なぜそれをしてもらうのかという理由や目的を共有することはすごく大事ですね。
青木:堀さんは店長として、従業員に対して気を付けていることはありますか?
堀:この店舗は私を含めて21人のチームなのですが、実は私より年下は2人だけなんです。私より店舗経験も人生経験も豊富なメンバーに、店長として気持ちよく働いてもらえるように「これをやって」ではなく、「これをお願いできますか」と言葉遣いには気を付けています。ちょうど今、全店でLINEのお友だちを増やす施策をやっていて、販促物や店内放送も大事ですが、一番効果があるのはレジでスタッフがお客様に直接お声がけをすること。通常のレジ業務をしながら声をかけるのは大変ですが、何のために重要なのかをお話して、結果が出たら「皆さんのおかげです。引き続き、よろしくお願いします」と伝えています。それに最近は、相手のいいところを伝えようと意識し始めたら、期待以上の成果に繋がることが多いなと実感しています。
青木:メンバーのおかげでチームが成り立っているけれど、それを言葉にして伝えたり褒めたりすることは、普段の業務に追われて忘れがちですよね。リーダーにとって、褒めることは重要なコミュニケーションの一つだと思います。
堀:その通りですね。あとは、感謝を表現することも大切ですね。
響き合う「想い」と、手渡された信頼の言葉
青木:社内のコミュニケーションで、うれしかったエピソードを聞かせてください。
堀:先ほどお話したLINEの友だち登録件数は、全64店の中で上位に入っています。私の思いがメンバーに伝わり、さらにメンバーの思いがお客様に届いたことで成果につながったと思うので、みんなで結果を出せたことがすごくうれしいです。青木さんはいかがですか?
青木:私たちのサービスではメール対応が終わった後、お客様にアンケートで対応についてお答えいただくのですが、そこでチームのメンバーが高評価を得たり、感謝の言葉をいただいたりしたときは、一緒に頑張ってくれて良かったなとやりがいを感じます。また、メンバーから私にフィードバックをもらう機会があって、「青木さんがリーダーで良かった」「何でも相談できる」と言ってもらい、自分がやってきたコミュニケーションが間違ってなかったと思えたのが最近の成功体験です。ほら、キツイと指摘されてから努力したからこそ、素直にうれしいです。
サービスへの情熱は、売場づくりにも。色とりどりの春の草花を前に、青木が堀さんに育て方のアドバイスを求める場面も。
対談を通じて心に残ったこと、取り入れたいこと
青木:ふたりで話しているとき、堀さんは熱心にメモを取られていましたね。
堀:はい、気になることやキーワードはメモを取る習慣がついてます(笑)。メール対応のお話はとても興味深くて、スピーディに解決へと導くために、いろいろな工夫をされていてすごいなあと思いました。私にとって一番の気づきは、メンバーに何かをお願いする際、青木さんは自分の状況まで伝えられるという点です。私も目的や背景は話すようにしていたのですが、自分のことまで話していませんでした。店長の仕事はまわりの人から見えづらくて、パソコン業務をしていても何をしているか分からないと思います。これからは「私はこれをしないといけないので、申し訳ないけど、こちらをお願いできますか」とクッション言葉を使いながら、自分のことも伝えてお願いしてみようと思いました。
青木:堀さんと私は業種が違えども、コミュニケーションで聞く力を大切にしていることなど、共通点も見つかりました。堀さんのお話から学ぶことがいろいろあった中で、特に私がマネしたいと思ったのは、まず相手の話を最後までしっかり聞くことです。私はそこまで意識できていなかったので、今後は心にとめて実践していきたいです。堀さんは話しやすい雰囲気で、今日はとても楽しくお話しできました。ありがとうございました。